5.草野町〜吉井町
2005/3/19

目覚ましを止めて二度寝してしまった。前の日にメキシコ料理の店で、調子にのって飲んだテキーラのせいだ。だるい体を引きずりながら、自転車を車のトランクに詰め込む。そして出発予定地に決めている久留米の筑後川 河川敷に向かった。目的地の河川敷に到着したが、うろうろしてるうちに第二の目的地に予定していた草野町まで着いてしまった。発心山ふもとに車を停め、自転車を組み立てて坂を気持ちよく下る。
まずは草野町の中心部にある草野歴史資料館に立ち寄る。ここはもともと草野銀行として明治時代に建てられ、歴史資料館となった今でも外観は当時のまま残されている。開館したばかりの10時ちょうどに入館した。この時間に訪れる人はやはり少ないのだろう。館長さんにマンツーマンで詳しく説明していただいた。
平安から安土・桃山時代までこの地方を治めた豪族草野氏であったが、戦乱の最中、豊臣秀吉により滅ぼされ、約400年の幕を閉じることになる。
草野歴史資料館を出て、自転車に乗らずにしばし草野町を散策することにした。草野町は江戸時代になってから、久留米から日田まで耳納山麓に沿って続く日田街道の宿場町として栄えた。今でも白壁の家が軒を並べ、当時の趣を残している。
再び自転車に乗って、草野町から吉井町方面へ向かう。旧日田街道である山辺の道は、どうして?ってくらい車が多い。しかもみんな結構なスピードなので、まじで怖い。そういう時は裏道だ。山辺の道に平行して、さらに耳納山麓側に山苞の道というのがある。予想通りこちらは車がほとんど通らないので、安心して走ることができた。暖かく気持ちよい風で昨晩のテキーラは吹き飛んでしまった。軽やかにペダルを踏むうちに、予定よりずっと早く次の地点に到着した。
吉井町中心部より山側にある「屋部地蔵公園」を目指す。何やら不思議なカッパのお地蔵さんが沢山あると聞いている。途中少しだけ道に迷いながらも坂を上って行くと、欄干の上にカッパが乗った「かっぱ橋」を発見。
誰も居ない駐車場に自転車を止め、案内板を確認する。右下の方にある注意書きには「随所にカッパあり」と書いてある。わざわざ補足するようなことか?と思いつつも何か期待できそうな怪しげな雰囲気を感じる。
小さな谷川に沿って下ってゆくと、なるほど確かに随所にカッパの石造がある。それらは沢の湿気の効果でうっすらとコケが生え、緑色の体色がリアルな質感をかもし出していた。
吉井町を望む風光明媚な高台にある屋部地蔵公園は、カッパだけでなく、ユニークな表情のお地蔵様がたくさん並んでいる。白梅が咲きそろう頃は、さぞ綺麗だろう。

屋部地蔵公園の地蔵群
そろそろ腹もへってきた。地蔵公園から吉井町まで下り坂に身を任せる。吉井町はちょうど今お雛様めぐりを開催中であった。どおりで人が多いはずだ。風情のある白壁土蔵の町並みを歩くと、いろんな商店で古風な雛壇を飾っていた。古風な雛壇といえば、大分県日田市の草野本家が有名だ。この旧商家である草野本家は家系的にが繋がっているらしい。
昼飯に黒い醤油ベースだしのキツネうどん&おいなりを食べ、吉井町を後にする。筑後川方向を適当に走っていたら、いつもの遊び場所である童子丸池の沈下橋に偶然着いた。相変わらず魚影が濃く、網をガサガサ入れたい衝動にかられるが、今日は残念ながら網を持ってきていない。
筑後川サイクリングコースを久留米方向に向かってのんびり走る。あまりに気持ちよくて、空をボーっと見上げてたら土手を落ちそうになった。ぼちぼち筑後川から耳納連山の方に進路を変えて、車を停めている草野町に戻らなくてはならない。適当なところで堤防から小道に入った。本当に何も考えずに、気の向くままに走った道だが、また偶然にも毎月通っているヒナモロコ里親会の会合場所に着いた。
二度に渡って見知った場所にピンポイントで出くわすとは、すごい偶然とその時は思ったが、これを書きながら地図を見たらどうってことなさそうだ。
草野町に戻ってきた。甘いものはあまり好きではないが、体を使った時はつい欲しくなる。古い屋敷を利用したと思われる、町の雰囲気に溶け込んだ洒落たカフェにて一息いれる。温かいコーヒーとケーキで至福の時を味わう。とたんに猛烈な眠気が襲ってきた。まぶたの上に石が乗ったようだ。もうなりふり構ってなんていられない。抜け殻のように体をテーブルに投げ出し、眠りの深淵に沈み込んだ。
車に自転車を積んで、本日最後の目的地である発心山へと登る。発心山の頂上には、草野氏の城跡がある。城跡といっても盛り土だけしか残ってなく、近くの立て看板によってかろうじて遺構とわかる程度である。最後の城主である草野鎮永氏が秀吉の謀略で自害させられた後、城に残っていた家臣も主の後を追って自害したという。
城跡からは筑後平野が広く見渡すことができる。城主も見ていた景色を眺めつつ、こみ上げる万感の思いにしばし浸った。





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