7.長崎県松島 サイクリング & シュノーケリング
2005/8/16

サイクリングもしたいし、スノーケリングもしたい。そんな欲求を満たしてくれそうな場所を探して地図を眺めていた。そして長崎県に松島という小さな島を見つけた。行くべし。
早朝まだ薄暗い港で自転車を組み立てる。背中にスノーケリング道具を詰め込んだデイパックを担ぐ。準備が出来た頃に、松島往復のフェリーが戻ってきた。
松島に近づくにつれて緑豊かな島とは不釣合いな、白い大きなエントツが目前に迫ってきた。それは港の横にある松島火力発電所だ。石炭によって発電を行うので、タンカーからこれまた巨大なクレーンで、次々に石炭が運ばれていた。石炭はどこかの国から輸入されたものだろう。松島をはじめ長崎の島々では、かつて石炭が多く採掘されていた。当時は活気が溢れていたこれらの炭鉱は、今では廃墟となり歴史の影に埋もれつつある。
港に到着。自転車にまたがっていよいよ出発である。小さい島だけに、黙々と走ったらあっという間に一周してしまいそうだ。何か面白いものがないか、気を配ることにしよう。走り出して間もなく、道路わきに"共鳴の谷”と書かれた看板を発見。「切り立った岩に向かって手を叩くと、ビーンという共鳴する音が聞こえる」と書いてある。どれどれと手を叩いてみると、なるほどビーンというかブルルルンというか、確かに反響音が響く。 面白くて叩き続けた手が赤くなったので再び走り出すと、すぐに港の集落に着いた。ここには確かラクダ岩というのがあると聞いていたのだが、と船着場を見るとすぐにそれとわかる物があった。これはもう見まがうはずがないだろう。座ったラクダとしか見えないのだから。自然の気まぐれが生んだ名物松島ラクダは、これからもシンボルとして島を見守り続けてくれることだろう。
やがて坂道に突入。これがしばらくダラダラと続いた。木陰があるとはいえ、風がほとんどないので汗が溢れる。他に気を配る余裕もないまま走り続けたので、何か発見を見逃したかもしれない。坂を上りきると、畑の向こう側に池島が見えた。池島も炭鉱で栄えた島だ。小さな島に住居らしきコンクリートの建物がずらりと並んでいる。最盛期の島の人口密度は相当なものだったであろう。炭鉱閉山後の現在はどれだけの人が住んでいるのだろうか。一つの時代を終えた島の様子は、海を隔てたこちら側からは、うかがい知ることはできなかった。
島のほぼ反対側にやってきた。小さなお店があったのでドリンクを補給する。ここから島の中央にある遠見山の頂上まで、自転車で行ってみたいと思う。ひとまず休憩をしていると、お店の人が出てきた。島についての情報を聞いた後、お願いをしたらウェイト(潜るために腰に付けるオモリ)など重い荷物を置かせてもらえた。装備がなくなるとビックリする程軽々と坂を上ることができた。やっと自転車は快適な乗り物だと知った気がする。お陰で無事に頂上の遠見岳公園に到着。見晴らしの良いところに来ると達成感が違うものだ。

お店に戻って荷物を受け取ったら、海に向かって坂を下る。すると赤レンガの建物が見えてきた。この建物には炭鉱内で働く人達を昇降させる巻き上げ機があり、松島炭鉱の繁栄をささえていたという。
海岸線にまっすぐな一本道が現れた。「太陽と海の道」というらしい。道沿いのところどころに咲いているハイビスカスの花の真っ赤な色が目に飛び込んでくる。その向こうには見渡す限りの青い海が広がる。南国に来たような気分だ。この道は自転車で走るためにあると言っても大げさではないと思う。最高にすがすがしい道だ。
快適に飛ばしていたら、白い柵が目に入った。真ん中にある手作りの看板には「日本一小さな公園」と書いていた。ほんとにあまりにも小さいので、危うく気付かずに通り越してしまうところだった。そこにあるのは木製のベンチが一つ。それに腰掛けて潮風を浴びつつ、青い空と海を眺めていた。でもこの場所は男一人で座っても絵にならない。西に沈む夕日を好きな人と眺めるなんざ、最高にロマンチックでないの?などどいつまでも妄想にふけりながらニヤつくのであった。通報されかねない不気味さだったに違いない。
やがて、海岸の風景がガラリと変わった。丸いゴロタ石の海岸から、千畳敷と言われる畳を敷き詰めたような平たい磯が続いていたのだ。トンネルのような森の小道を抜けて千畳敷の海岸に下り立つ。風向きの影響で生じたやや波高い波が、岩にあたり白く砕けた。こういう地形では、岩の間に潮溜まりができやすい。しばし座り込んで生き物探しに夢中になってしまった。
千畳敷を散策していたら、穏やかな入り江を発見した。自転車を置いて一気にウェットスーツに着替える。自転車もいいが、正直言うと私はスノーケリングの方が大好きだ。本領発揮とばかりに、水を蹴ってスイーッと潜る。やっぱり水の中は気持ちいい!
しかし残念ながら視界はいまいち。せっかくサンゴや熱帯の魚もチラホラいるというのに、これだけ濁っていると接近しないと写真が撮れない。そんな状態だが、浅瀬で白く輝く小さな魚を見つけた。フウライチョウチョウウオの子供だ。岩棚の隙間に追い込んで、なんとか撮影成功。
さて島一周に近づいてきた。最後に向かうは、松島の天然記念物である、”アコウの巨木”である。幹に絡みつく気根が不気味である。今にもうごめきそうな躍動的な雰囲気に、強い生命力を感じた。





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