
肉眼では二度と見れないものが記憶の底から現れました |
隊長と別れた後、祖母の家の周辺を一人でぶらぶら散歩してみた。私は小学生の頃は東京に住んでいて、毎年夏休みに祖母の家に遊びに来るのが楽しみだった。当時のこの辺は田んぼが広がり、カエルの鳴声がうるさいほどであった。私が水辺に目を開いた原点はここにあったといってもよい。一面にあったその田んぼは、今は信じられないことに全くないのである。広い道路が走り、両脇にはショッピングセンターなどの大型店が立ち並ぶ。あの頃私は夢でも見ていたかのような気持ちになる。
だが少し裏に入ると、あの当時手を引かれて歩いたジャリ道がひっそりと残っていた。ジャリを踏みしめる音を聞いていると、喧騒や車や人など目の前の全てが徐々にかすみ、やがて消えてゆく。ギラギラ照りつける日差しの下で、膝ほどの深さの小さな川に入って、魚やエビを採って遊んでいた少年の私。毎日飽きもせずに。それにしても、今もその頃も夕焼けをみるとなんだか寂しい気持ちになってしまうのはなぜかな。
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