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対馬 サイクリング&スノーケリング


2005年05月03日



大型連休真っ只中ということで、夜11時40分発という遅い時間にもかかわらず、博多港フェリー乗り場には行列ができていた。自転車を入れた輪行バッグ(自転車を運搬するためのバッグ)が邪魔でしょうがなかったが、仕方なく長い列に並ぶことにした。
やがて乗船時間になり船内に入るが、二等船室は既に超満員。翌朝の体力温存のために睡眠はどうしてもとりたい。人が頻繁に出入りする場所だったが、手洗い前のスペースに借りたゴザを敷いて、ビールをかっくらって寝転ぶ。こんな状況でもぐっすり眠れるのだから、私は得な体質である。

4時過ぎに厳原港に到着。外は真っ暗だが、自転車を組み立てて出発することにした。夜明け前の港は風が冷たい。体温を上げるために一生懸命ペダルを漕ぐ。町はずれまでやって来ると、道が山へと続いてゆくのが見えた。ここから坂の連続が始まる。気合を入れる必要がありそうだ。
振り返ると町がすっかり見えなくなった。地図を見ると、今いる坂の名前が「嗚呼難儀坂」(あなぎざか)と言うらしい。誰が名付けたかは知らないが、何とも実感のこもった呼び名である。



そしてようやく頂上にある内山峠展望台に到着。荷物を無造作にドサッと置いて、展望台から景色を見渡す。対馬で一番高い矢立山や龍良山が、水色の空と交わることなく、くっきりと深い緑の姿を浮かび上がらせていた。
内山峠は国内最大級のアカハラダカ(小型のタカの一種。越冬のために東南アジアまで渡る。)の飛翔観察場所という。内山峠は南北に山があり、東西に開けているために上昇気流が生まれやすく、秋には滑空を繰り返しながら海を渡って行くたくさんのアカハラダカの姿が見られるそうだ。

田植え真っ只中の静かな田園を抜けると、鮎もどし自然公園に着いた。人工的な公園そのものには興味ないが、清流を包み込むような花崗岩の景観は一見の価値があると思う。今こそスノーケルセットを取り出して飛び込みたい気分だが、ここはぐっと我慢だ。今ここで体力を使い果たしたら、あの峠を越えることが難しくなるだろう。いつかまたここに来たときには、ぜひ天然のウォータースライダーを滑ってみたい。



鮎もどし自然公園の駐車場に面した所に、龍良山登山道入口がある。この山には太古の昔からひっそりと息づいている原生林がある。対馬にはこのような手付かずの大自然が随所にしっかり残されている。天然記念物ツシマヤマネコが生き残れたのも納得できる。今回はスケジュールの都合で、原生林の散策することができないが、入口より数十メートル入っただけで空気のうまさが違うのがわかる。




森の天然フィルターで浄化された、澄んだ空気をたっぷりと吸い溜めした。これより気合を込めて、再び内山峠の頂上を目指す。原生林からもらったパワーで、坂をぐんぐん上ってゆく。
このままノンストップで行ってしまえるのでは?と思ったのもつかの間。急激にペースダウンしてしまった。太陽がいつの間にか頭上から見下ろしている。そして全くと言って良いほどの無風状態の中で汗が止まらない。日陰から日陰へ太陽から逃げるように、超スローペースで上がってゆく。目の前にニンジンぶら下げられて走る馬のごとく、海のことばかりを頭にちらつかせて自分を励ますのだった。




1時間後、内山峠頂上に到着。坂を越えた達成感に浸るよりも、今は一刻も早く海に入りたい。休憩そこそこに海に向かってまっしぐらに坂を下った。
行き着いた場所は、静かな漁港である。防波堤の先端まで行き、脱力感をこらえきれずに岸壁の上にうつ伏せになる。穏やかですこぶる透明度が高い海中をぼんやりながめると、ネンブツダイやメジナの群れがたくさん泳ぐ姿が見える。




魚を見ていたらじっとしていられなくなった。磯の方に移動して、ウェットスーツを取り出す。この瞬間をどれだけ待ち焦がれただろうか。素早く着替えて準備は整ったが、慌てて飛び込んではいけない。何しろ5月は水温がまだまだ低いのだ。静かにゆっくりと海に入ってゆき、腰の辺りまできたらスーッと海面に浮かんでみる。海藻の切れ間にちらほらと珊瑚が見られる。さすが福岡とは海の様相がだいぶ違う。




スノーケリングを満喫したので、厳原港へと戻ることにした。その帰り道の途中で、道路脇にある”物体”の前で立ち止まった。それは丸太を垂直に立てた物で、今日一日自転車で走りながらも随所で見かけつつ、正体がずっと気になっていた。港に帰ってきて、立ち寄った本屋で調べたら、それは「蜂洞」という対馬独特の養蜂の手法で、9月〜10月頃にハチミツを採取するための巣箱らしい。




珍しい手法と言えば、港でもう一つ見つけた。たくさんのイカをつるして、それを高速で回転させる機械である。遠心力で水分をとばしているそうで、”イカのカーテン”として対馬の風物詩となっている。どれだけ高速な回転かは、動画をご覧あれ。


イカのカーテンの動画