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桃源郷を探して その3


2005年11月3日


やはりここが桃源郷であった

昨年フィールドスコープでイシガメらしきカメを観察
ちょうど一年前に「桃源郷を探して」と題して、勝馬先生と二回に渡って川で見つけたニホンイシガメの生まれ故郷の探索をした。地理的にみて上流の池から流れて来たことに間違いないと思われるのだが、どうしてもその確証すなわちイシガメが生息しているという証拠が欲しかった。生態系を崩さないためには、生き物は生息していた場所以外に絶対に放してはいけないからだ。
しかし池は結構大きいし、深い木々に囲まれているため、人が近寄れる場所はごく限られている。そこで野鳥観察用のフィールドスコープを使って、甲羅干しをしているカメの姿を観察した。それにより、イシガメの姿によく似たカメを見ることができた。でもまだ物証が足りないので、保護しているイシガメの放流は見送った。結論としてはイシガメを捕獲するしかないと思った。





水がないので上の写真の場所に歩いて行くことができた
とはいえ先も述べた通り、人が近づきにくいその大きな池で、イシガメの捕獲は容易ではない。そうこうするうちに一年が過ぎた。(早っ!)
ある日勝馬先生から急展開を告げるメールが来た。どうも福岡西方沖地震の影響で、あの池の底にひびが入って水漏れしているらしい。農業用水確保のため、役所が調査をするとのことだ。調査のためには一旦水を全て抜く必要がある。ということは、イシガメの生息を確認できる大チャンス到来という訳だ。




池の底の調査前に、生息している生き物の確保やブラックバスなどの外来魚駆除を兼ねて、近所の子供達を集めて捕獲作戦を実施するらしい。子供ではないが、こんな楽しそうなイベントに惹かれないはずがない。しかし私は残念ながらそれに参加することができない。気を利かせた勝馬先生のおかげで、事前に参加許可をもらっている。だがその日はすでに霧島サイクリングツアーの予定が入っているのだ。できれば自分の手でイシガメを捕獲したかったのだが、こればかりは仕方がない。調査を勝馬先生に一任することにした。




後日、勝馬先生から「イシガメを数匹捕獲しましたよ!」という報告が入った。メールで送られてきた写真には、手のひらよりも大きい立派なイシガメの姿が写っていた。
ついにイシガメの桃源郷はこの池に間違いないという確証を得ることができた。嬉しさ反面寂しさ半面。なぜならばそれは我が家のイシガメとの別れを意味することでもあるからだ。しかしこれはイシガメと約束したことである。必ず桃源郷へ帰してあげると。
そういうことで、桃源郷探索は一応これにて任務完了ということになる。次回は春か初夏にイシガメの放流を予定している。 カメつながりということでついでに言うと、一月に私が海岸で保護したアカウミガメ(水産高校にて飼育中)も来年夏に放流の予定ということだ。池と海でそれぞれに出会ったカメのおかげで、いろいろな人と情報交換をしたりと、今までにない経験をすることができた。個人的にカメ達には感謝の気持ちで一杯である。

ところで様々な要因により、日本のカメ達は激減の一途をたどっている。カメは古くから民話に多く登場するほど、日本人にとって親しみ深い生き物である。そんなどこにでもいた生き物でさえ、出会ったときに懐かしさがこみ上げてくるのは、なんとも切ないことだ。人の考え方、生活、そして自然の姿さえもガラリと変えてしまった結果、我々人間が最終的に得たものとは、実際の所何なのだろうか。